
ピートタイプのウイスキーを探している時、『ppm』や『フェノール値』で数値が表示されているのを見かけたことはありませんか?
今回はスモーキーさの指標の一つである『ppm』『フェノール値』について、また各代表的なウイスキー8選をご紹介していきます。
ウイスキーは2,000円台から購入できるものから、20,000円弱まで幅広くフェノール値ごとにピックアップしました。
お好みのピート香の強さを見極める方法の一つなので、ぜひ最後まで読んで頂き今後のご参考にしてください。
『フェノール値』『ppm』と何?



『フェノール値』とは、ピートの乾燥レベルを表す指標であり、化学の標準的な単位『ppm』を使用します。
一概には言えませんが、この数値の度合いでピートのスモーキーさを図ることができます。
もう少し細かくお伝えすると、ピートで乾燥させた大麦麦芽に対して、ppmでピートレベルを記載しています。
ウイスキーの液体で測っているわけではありません。
ピートの種類・量・乾燥時間によって、ピーテッドのレベルを大まかに4種類で分けることができます。
(※下記の数値はあくまでも目安です。ウイスキーの銘柄によっては、ライトピーテッドでも15ppmレベルのものもありますので、ご参考にしてください。)
- 5ppm以下→ライト・ピーテッド
- 6〜19ppm→ミディアム・ピーテッド
- 20ppm以上→ヘビリー・ピーテッド
- 80ppm以上→スーパー・ヘビリー・ピーテッド
ヘビリー・ピーテッドの20ppmは、比較的スモーキーなレベルとしては中間辺りの部類とされています。
しかし、次のランクである『スーパー・ヘビリー・ピーテッド』との差が大きいため、果たして20ppmがどのくらいスモーキーなのか分かりにくい方も多いでしょう。
『フェノール値(ppm)』の目安とは?ppmが低いウイスキー順でご紹介!
上記でお伝えした通り、ppm高いウイスキーが必ずしもスモーキーとは限りませんが、指標とされるだけありやはり高いものはピーティーな香りがすることもあり、目安として充分使用することができます。
ではノンピートのウイスキーから、スーパー・へビリー・ピーテッドまで、順次ご紹介していきます。
[1]まずはノンピート|ブルックラディ ザ・クラシックラディ





綺麗なスカイブルーのボトルが印象的なブルックラディ蒸溜所の『ザ・クラシックラディ』は、フェノール値2〜5ppm程とも言われていますが、ノンピーテッドのウイスキーです。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(50%) |
蒸溜所(地域) | ブルックラディ蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 4,600円前後 |
ブルックラディ蒸溜所といえば、シングルモルト界の第一人者ジム・マッキュワン氏が中心になって、2001年以降に再建した蒸溜所です。
ラインナップは、ノンピートのものから強烈なピート香が楽しめる幅広さがあります。
『ブルックラディ ザ・クラシックラディ』は、ピーティーなウイスキーで有名なアイラモルトの中で異色の存在です。
スコットランドの大麦を100%使用した『ザ・クラシックラディ』の味わいは、エレガントでフローラルが楽しめるのが特徴と言われています。
[2]ライト・ピーテッド(15ppm)|ウルフバーン モーヴェン





ウルフバーン蒸溜所の定番商品である『ウルフバーン モーヴェン』は、フェノール値15ppmでライト・ピーテッドのウイスキーとして発売されています。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(46%) |
蒸溜所(地域) | ウルフバーン蒸溜所(ハイランド地方) |
価格 | 5,900円前後 |
スコットランド ハイランド地方にある最北端に位置するウルフバーン蒸溜所は、2013年に蘇ったばかりです。
昔ながらの伝統的な製法を護り、可能な限り手仕事でウイスキーを作り続けています。
『ウルフバーン モーヴェン』は、蒸溜所初のピートタイプのウイスキーです。
ピートの味わいは、柔らかく滑らかで心地よい甘さと、スパイシーさが楽しめます。
[3]ライト〜ミディアム・ピーテッド(18〜22ppm)|タリスカー10年





「酒の王様」とも呼ばれているスカイ島の『タリスカー10年』は、フェノール値18〜22ppmのライトとミディアム・ピーテッドの中間に当たるウイスキーです。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(45.8%) |
蒸溜所(地域) | タリスカー蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 4,800円前後 |
タリスカー蒸溜所は、「酒の王者」と称されるほど男性的な荒々しさと、洗練されたエレガントさを持つウイスキーを製造しています。
(※酒の王者と称したのは、宝島の作者スティーブンソンです。)
現代でも「酒の王者」と呼ばれる由縁は、タリスカー独特の『胡椒のようなスパイシーさ』や、『洗練されたスモーキーなピート香』が、多くのモルトファンを夢中にしているからでしょう。
今回の『タリスカー10年』は、スモーキーなピート香と甘さに加え、タリスカーらしい胡椒を思わせるピリッとしたスパイシーさが楽しめる1本です。
[4]ヘビリー・ピーテッド(25〜30ppm)|ボウモア12年





「アイラの女王」と気品が高い『ボウモア12年』は、フェノール値25〜30ppmのヘビリー・ピーテッドのウイスキーです。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(40%) |
蒸溜所(地域) | ボウモア蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 2,200円前後 |
ボウモア蒸溜所は、現在も伝統的なフロアモルティングを行い自家製の麦芽など、伝統を受け継ぎながら現代に合わせた変革を行う蒸溜所です。
そのウイスキーは、「アイラの女王」と称される華やかなエレガントさをもつのが特徴です。
『ボウモア12年』は、アイラモルトらしいピート香とフルーティー感や、ボウモア蒸溜所らしい潮の香りが楽しめます。
[5]ヘビリー・ピーテッド(40ppm)|ポートシャーロット





一番最初にご紹介した『ブルックラディ ザ・クラシックラディ』のノンピートと違い、『ポートシャーロット』はフェノール値40ppmとピートレベルの高いウイスキーです。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(46%) |
蒸溜所(地域) | ブルックラディ蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 6,300円前後 |
『ポートシャーロット10年』は、ブルックラディ蒸溜所のピートを炊くシリーズの一つです。
アードベッグに比べると、フェノール値が二回り程下がります。
スモーキーなピートの深みと合わせ、フルーティーで華やかな香りと甘みが強く、バランスの良いウイスキーです。
[6]ヘビリー・ピーテッド(50ppm)|ラフロイグ セレクトカスク





『ラフロイグ セレクトカスク』は、フェノール値50ppmのヘビリー・ピーテッドです。
この辺りから、ピート香は更に強くなっていきます。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(40%) |
蒸溜所(地域) | ラフロイグ蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 3,500円前後 |
ラフロイグ蒸溜所は、伝統的なフロアモルティングで、海藻や苔を含んだピートを焚き込むのが特徴です。
そのため、深みのあるスモーキーなヨード臭が、病みつきになります。
『ラフロイグ セレクトカスク』の原酒は、シェリー樽とバーボン樽で熟成された後ブレンドし、さらにヴァージン・アメリカンオーク樽で後熟させています。
その味わいは、スタンダードの10年ものに比べるとヨード香が柔らかく、マイルドな印象です。
[7]ヘビリー・ピーテッド(60ppm)|アードベッグTEN





ピート感が強いウイスキーと言えば『アードベッグTEN』と言われる由縁は、このフェノール値60ppmです。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(46%) |
蒸溜所(地域) | アードベッグ蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 4,200円前後 |
『アードベッグTEN(10年)』は、薬草や薬品を思わせるヨード香や、重厚なスモーキー感と潮の香りが楽しめるウイスキーです。
また、スモーキーなフレーバーの奥に、ピリッとしたスパイシー感をもっています。
スモーキーなピート感が好きな方は、一度飲むと病みつきになる独特の魅力があります。
[8]スーパー・ヘビリー・ピーテッド(208ppm)|オクトモア10年





まさに最高のピート感を誇るのが、ブルックラディ蒸溜所の『オクトモア』シリーズです。
今回ご紹介するオクトモア10年のフェノール値は、なんと208ppmのウイスキーで強烈なピート感が楽しめます。
種類 | スコッチ・シングルモルトウイスキー |
容量(アルコール度数) | 700ml(54.3%)※シリーズによって変動します。 |
蒸溜所(地域) | ブルックラディ蒸溜所(アイラ島) |
価格 | 19,800円前後 |
ブルックラディ蒸溜所が手がけるピートタイプの中で、最も高いフェノール値を誇るのが『オクトモア』シリーズです。
世界的にも、最上級レベルのスーパー・ヘビリー・ピーテッドなシングルモルトウイスキーと言えます。
実はオクトモアシリーズは、フェノール値(スーパー・ヘビリー・ピーテッド)の高いモルト原酒を使用したウイスキーがどんな味わいになるのか挑戦したプロジェクトとして2002年に産まれました。
定番品というよりは、発売されるごとにフェノール値は変動することもあり、エディションナンバーのボトルとして発売されるピートマニア注目のシリーズです。
今回の『オクトモア10年』は、若々しさが目立つ11.1や11.3に比べ、成熟した繊細な奥行きを感じることができる1本です。
熟成にはヴァージンオークのファーストフィル、セカンドフィルのアメリカンオーク樽を使用し、エキゾチックな深みあるフルーティー感と塩気など、独特の風味・香りが楽しめます。
まずはお好みのピートレベルを探してみてください!



ザックリとフェノール値について、また順を追ってスーパー・ヘビリー・ピーテッドのウイスキーをご紹介いたしましたが、如何でしたでしょうか?
ピートタイプのウイスキーに挑戦する方、今飲んでいるウイスキーよりもフェノール値(ppm)が高いものを探している方は、ぜひ上記でご紹介した8種類のウイスキーを飲み比べてみてください。
ピート香のウイスキーはハマればハマる程、深みが増していきます。
徐々にフェノール値を上げるのも良し、中間から攻めるのも良し、お好みの順で試していただければ幸いです。